自分が移住したからこそ、登場人物により感情移入してしまう。
今回は、そんなマンガをご紹介します。
「髪を切りに来ました。」
今回ご紹介するマンガは、
「髪を切りに来ました。」(1~5巻)
作者:高橋しん 出版社:白泉社
です。
あらすじ
主人公は、美容師の陸と小学4年生の一星の親子。
海外出張する母親と離れ、東京から沖縄の離島「ハルタ島」に離島留学します。
外からきた人を拒む風土の中、美容室をはじめる陸。
声を出せないながらも、離島の小学校に通いはじめる一星。
きれいな海に囲まれた離島で繰り広げられる人間模様を、やさしい視点で描いたマンガです。
このマンガを読むと、心も体もふっとゆるむんです。
ゆるむのを感じて、いかに自分に力がこもっていたのかに気づくんですよね。
主人公に自分を重ねてしまう
いつの頃からでしょうか。
大人は一生懸命やって、当たり前。
やったことが褒められなくて、当たり前。
わたしはそう思うようになっていました。
だからでしょうか。
自信のない自分の選択を、「大丈夫だ」と無理やり信じながら進めてきた育児も。
夫の一言がきっかけであっても、自分で選んだからと色々飲み込んだ移住も。
誰かに認められる…なんてことは、想像をしたこともありませんでした。
まじめで、かたくて、一生懸命。
そんな陸の言動が、自分と重なりました。
思わず涙があふれたセリフ
島に来て1週間経ち、東京の友人からのラインに「大丈夫」と答えた陸。
でも、陸は自分自身のことがよく分かっていなかったんですよね。
それを、島のおじいは見抜いていました。
子供も大変だったはずね
知りもしないこんな小さな島に
――だけど
子供が大変な時は
親はその10倍大変なはずさー
この一週間
一番、頑張ってたのは
あんたさ
髪を切りに来ました。1 p201-202
おじいのこの言葉に涙した、陸。
…わたしも、この言葉に、涙が溢れました。
誰かに認められるなんて思いもせずに、がむしゃらにやってきたこと。
それを人に認めてもらえた瞬間。
表面張力が揺らいだ水があふれるように、零れ落ちる涙。
ストーリーに浸りながらも、わたしはある時の義母の言葉を思い出していました。
思い出した義母の言葉
移住して2年目。
まだ慣れたとも言えない、でも慣れていないとも言えない時期。
新しい環境での生活、子育て、目まぐるしく変わる社会状況。
淡々と日常生活を送っているつもりが、どこか気持ちが張り詰めていたんだと思います。
ある日、息子が義母といる時にお客様がいらして、義母といっしょに挨拶をしたそうです。
その時の息子の様子を、義母がわたしに話してくれました。
「とてもきちんと挨拶していたのよ。
あなたがちゃあんと、育てたのね」
と労うようにやさしく言ってくれました。
その言葉を聞いた瞬間、目がカッと熱くなり、涙が出そうになりました。
育児を、褒めてもらえることがあるなんて。
誰にも認められることはない、だけど一番大切に思っていて、一番力をいれていること。
それを、認めてもらえて…おどろいて…とても、うれしかったんです。
陸の涙を見て、その時のことを思い出しました。
そして、義母の前ではこらえたけれど、一人で部屋でこのマンガを読んでいる時には、こらえきれずに泣いてしまったのでした。
まとめ
島の人たちの持っている、なんくるないさ、という精神。
この精神が根底にあるから、何が起きても大丈夫、と許されている気持ちになる。
マンガの登場人物も、読んでいる私たちも。
だからこのマンガを読むと、何だか肩の力が抜けて、心も体もゆるむのでしょうね。
わたしは直感でこのマンガを選んで、1巻を読んだら止まらなくなり、その後勢いで全巻そろえちゃいました。
アプリでマンガを読むのに抵抗がない方には、かなりお得に読めるAmebaマンガがおススメです。
(わたしは知らなかったので、定価で購入して読みました…)
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