移住して変わったファッション観

気持ち

移住する前、「新しい場所に行ったら、自分は変わってしまうのかな?」といった、漠然とした不安がありました。


実際に移住して変わったことはいくつかありますが、想定外の変化はファッション観の変化でした。

都会で毎週のようにショッピングを楽しんでいた私が、移住後はシンプルな服のみで暮らすようになったのです。


今回はそのファッション観の変化について、お話しします。


次々と欲しいものを求めていた過去


移住する前の職場は、品川にありました。

仕事が終わったら、電車の時間まで短時間のウィンドウショッピングをするのが習慣でした。


休日も川崎や横浜のショッピングモール、百貨店に出かけることが多く、就職して自分で稼ぐようになってから、ショッピングはほぼ趣味になっていました。


当時は、常に頭の中に憧れの商品がありました。


・Repettoの靴

・セントジェームスのボーダーTシャツ

・エルベシャプリエのバッグ

・THREEのネイル

・マーガレットハウエルのスニーカー

 などなど…


雑誌に載っていた、可愛いもの。
ステキな著名人が推していた、あのブランド。


休日は店をはしごして気になる品物の売り場を探し、「今度これを買おう」とチェックして帰るのを何度も繰り返していました。


そして、やっと品物を手に入れたら、職場に身に着けて行き、昼休みに同僚から「それ、新しいね」と言われ、心の中でひっそり小躍りしていました。

服や小物が好きな同僚は、そわそわしながら身に着けてきた新品にちゃんと気づいてくれ、ほめてくれました。


このように、情報を集め、商品を追い求め、手に入れて、人に見せてほめてもらう。

わたしは長い間、このサイクルを繰り返していたのです。



あんなに欲しかったものが全く役に立たなかった


振り返ってみると、「あの時のわたしは一体何をしていたんだろう?」と思います。


当時持っていた物は、今、すべて手元にありません。


あんなに憧れて、清水の舞台から飛び降りるつもりで買ったはずのRepettoのバレエシューズは、移住先で全く役に立ちませんでした。


日常生活で、日々の散歩や畑仕事をするには、スニーカーが最適。
町に出かけるときも、スニーカーに慣れた足に、もうバレエシューズが馴染むことはありませんでした。


「ショッピングが趣味」は勘違いと気づいた


以前は、ショッピングが趣味だと思っていました。


毎週のように繰り返していたので、「自分はこれをやりたいからやっている」と思っていたのですが、もしかすると本当に欲しかったのは、物そのものより「人からの反応」だったのかもしれません。


あのステキな人が勧める物を身に着ければ、きっと自分もステキって言ってもらえる――そんな気持ちがあったのだと思います。

でも、人からの反応で気持ちが上がるのは、ほんの一瞬だけ。


仕事で疲れた体を、休日に休めるのではなくショッピングモールを徘徊していたわたしは、実はずっと疲れていました。


移住したら買い方が変わった



移住後、仕事を辞めて人に会う機会がなくなり、人からコメントをもらうこともなくなりました。


もうわたしが何を持っていて何を身に着けているか、誰も気にすることはありません。


普段はシンプルなTシャツとズボンで過ごし、出かけるときもシンプルなセーターとズボン。

服の数は1シーズン20着以下、靴はスニーカー2足、革靴1足、サンダル2足、ブーツ1足。

この6年間、それで十分でした。


とはいえ、「服は入れば何でもいい」と思っているわけではありません。

誰かに見られてステキと言われる妄想はしない代わりに、自分がその服をいいと思えるかどうかを大事にしています。


この服、着心地がいい。
この服の丈、きれいにみえる。
この服、涼しい。

そんなお気に入りポイントを意識して、着ています。


購入はネットが中心ですが、たまに実店舗に行くこともあります。

いつもの店の、いつものシリーズを基本に選ぶので、服にかける時間は以前の5分の1くらいです。


その分、余った時間でのんびり体を休めることができるようになりました。

身体が休まる感覚を知って、以前は本当に疲れていたんだと納得しました。


まとめ


「都会を離れたら服に気を使わなくなるんじゃない?」

と言ってきた人がいました。


言われたときはそのセリフに動揺してしまいましたが、今なら「シンプルな格好だけど、着心地が良くて気に入っているよ」と言えます。


きっと前より人にどう見られるかについて、虚勢を張ろうとしなくなったのかもしれません。


ファッション観の変化は、自分自身を認める変化でもありました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました